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#1420
森の熊
ゲスト

島田さんこんばんは、いつも放送楽しく拝聴しております。

今朝は庭のアジサイの花が綺麗に咲いたので、昔話を思い出してしまいました。

もう十数年前になるでしょうか、当時はオンボロの赤いSRX400にまたがって、明け方でも夜中でも海沿いの峠道を走り回っていました。

その峠道の途中、海へと降りる最後のキツい右カーブにだけアジサイの花が咲くのです。

その日、そのアジサイについ目を捕らわれたせいか、砂利でも湿っていたのか、右カーブからの切り返しで転倒…幸いにも速度は落ちていたこともあり、よっこらしょと車体を起こしていた時でした。

海から上がってくるバイクの排気音、少しドコドコと野太い感じです。

カッコ悪いところを見せたくないと慌てたからかなんと車体はそのまま反対の道路側に倒れてしまい、そのバイクを路肩に止めてしまうことになってしまいました。

『大丈夫ですか? その、バイク…』

その声にドキリとしてしまったのは、真っ白いタンクに星のエンブレムのドラッグスター、ピンスト入りの黒いジェットヘルメットに黒い革ジャンながら…凛とした女性の声だったからです。

『あ、いや俺もコイツも大丈夫、ごめん、すぐどかすから…』

かすかに湿った路面だけを見ながら引き起こし、ちゃんと謝ろうと視線を向けると、片手に白いタオル地のハンカチを差し出した彼女が立っていました。

『大丈夫、じゃないと思いますよ?』

オレンジがかったバブルシールドの向こう、うちのカミさんよりふっくらとした唇と小さな鼻に心を奪われてしまい、そもハンカチ受け取ってどんな礼を言ったかは思い出せません。

走り去るドラッグスターの音が消えるまで、手の中のハンカチを返すために走り出したい衝動に駆られましたが、折れ曲がったシフトレバーをつけ直す時間はありませんでした。

あれから、走る時には必ずハンカチをポケットに入れています。

しかし白いドラッグスターに会うことはなく、私も赤いSRX400ではありません。

季節は幾度と無く流れ、何度かアジサイを見ることもありましたが…

(ここで転べば、また会えるかも?)

などと馬鹿なことを考えたりしながら、かぶりをふって右カーブを軽く駆け抜けるだけ…いつか誰かにわたすかもしれないハンカチとともに。

 

 

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