【W800STREET】クラシカルな鼓動をのんびり楽しむ【kawasaki】

バイク記事

50年の歴史を今時のテイストで楽しむ

長い歴史を持つ”W”シリーズ。その特徴的なスタイリングや独特な鼓動感を生み出す360度バーチカルツインエンジンなどを現代風に解釈した【W800STREET】に試乗しました。このバイクの特徴は現代的な目線で見ると多岐にわたりますが、最初期型のW1の登場が1966年にさかのぼります。当時のWシリーズにはOHVのエンジンが採用されていて、今になると新鮮で最新のマシンにはない独特なサウンドやユニークな機構(当時としてはオーソドックスですが)により根強いファンが存在しています。その後1999年にはWシリーズの血統を受け継いだW650がデビューします。W650の心臓部には以前のW1などに搭載されていたOHVバーチカルツインではなく、新たにベベルギアでカムシャフトを駆動するタイプのエンジンが採用されました。外観は似ていますがエンジンの機構としては大きな特徴変更をしたことにより新生W650は独特なメカノイズを響かせながら新たなモデルとして、Wシリーズの長い歴史に新たな1ページを書き加えました。その後も紆余曲折を繰り返しながらも2019年に現モデルとして、ETCやアシスト&スリッパークラッチ、LEDヘッドライト、ABSなど今時の装備を満載し再登場。最新モデルゆえの付き合いやすさとクラシカルな味わいを両立した新生”W”となっています。

”金属感”のある座り心地

実際にまたがって引き起こしてみると、ずしっとした重量感が心地いい。腰高の大型ツアラーモデル等とはまた少し違った、低重心かつ塊感のあるバイクのそれです。質感を追求して随所に使われたスチールや、全高が比較的高くなりやすいバーチカルツインエンジン本体などそれなりの重量感があります。ただ、実際に汗をかくような重さではなく程よく重いといった感じです。車重221Kg(STREETの場合)というスペックを考えた時には、数字以上にはるかに軽く感じます。当時のW1がかなりの重量感があり(車重218Kg、但し当時の表記は乾燥重量なので+20kg位はあったと思われる)、体力勝負な部分があったことを考えると、新設計されたフレームによる最新のディメンションにより同じような重量でも程よい質感に感じさせられる所まで持ってきているのはメーカーによる開発技術力の高さの一つの形といえるでしょう。目に見えない、数字に表れない部分の付加価値としては申し分のない魅力かもしれません。

実際の足つきや取り回しに関しては、平均的な体形・体力の方でしたら全く問題ないでしょう。小柄な方や女性などでも足つきは若干悪めですが、苦労するほどではなく慣れでどうにかなる程度です。取り回しに関しても一般的な教習所で教習車に乗って卒業できた方なら同じ感じで扱える範囲のものだと思います。ポジションはいわゆる殿様タイプで、800ccあるバイクでも街中などでは実際の大きさよりも軽快に走れるように思います。冬の高速道路ツーリングなどではよく風に当たりそうなので対策が必要そうですが、それもまたこの手のバイクだとカスタムするきっかけになって楽しみの一つかもしれません。タンデムシートは比較的座り心地もよく、中空構造になっているしっかりとしたステップが備わっているのもあり安心して乗っていることが出来そうです。ただし、サイドのグリップは下側に向かって距離があるためずっと掴まっているには不向きです。

艶感を楽しむインストゥルメントパネル

跨ると見えてくる景色は、往年のクラシックマシン定番の二眼メーターです。水平方向に設置されたメーターはオーソドックスでありながらも走行すると二つの針が踊り、機械好きにはたまらない仕上がりになっています。個人的に注目したいのは二つのメーターの間の無機質にのっぺりとした何もない部分です。あえてインジケーターや造形などを並べず、さらにボタンにもラベルを張らず主張させないことでレトロな表情を作り出していて、引き算の美学を感じさせる仕上がり。メーターリングのみを金属的に光らせてその他は徹底的にシンプルにすることで飽きの来ない表情を作り出しています。

低回転を楽しむ、メカノイズでにぎやかなエンジン

W800を語るうえで外せないのがエンジンです。今となっては新型車ではほぼお目にかからない360度バーチカルツインエンジンは、独特のサウンドと程よく粘り気のある走行フィールで、人によってはこの世界観にハマって抜け出せなくなるかと思うくらいに特徴的です。大型の2気筒エンジンや今となってはいかにも効率の悪そうな(この手のバイクでは誉め言葉です)作りのエンジンのイメージとはかけ離れた滑らかさで驚きます。あえて重量感を持たせたフライホイールやバランサーを搭載してとても扱いやすく心地の良いマシンへと仕立て上げられています。不快な角のない、丸くしっとりとした鼓動感とそれを僅かに大げさに演出するエキゾーストのサウンドチューンが絶妙にマッチして、低回転域からバイクを操る本来の楽しさを感じさせてくれます。思い出すと一昔前に出ていたW650に試乗したときに感じたデメリット的な部分が全てなくなっていることに驚かされます。当時W400と同じタイミングで試乗したこともあり、実は400ccモデルの方が遥かに乗っていて気持ちが良かったので、650の方にあまり気をひかれませんでした。400cc版は650をショートストローク化した言わばWの魅力であるロングストロークエンジンを一部スポイルしたバイクだったにもかかわらず滑らかに回るそのエンジンが心地よく、いつまでも乗っていたくなるような世界観を持っていました。しかし今回800ccになって目の前に現れたW800は、まさにその楽しさをより高めたようなフィーリングだったので思わずコレコレ!と言いたくなるような言葉にしがたい快感性能があったのです。そして忘れてはいけないのがベベルギアの駆動音です。走行中終始「ヒューン」という音が回転数に比例してなり続けるので、乗っていて自分でエンジンを操っている感じが強く感じられてさほどスピードを出さずとも人車一体感を楽しめるバイクに仕上がっています。

まとめ

現代によみがえったWシリーズの末裔、W800シリーズはそのレトロな見た目とは裏腹にきちんと現代風に進化して再び現れました。心地よいエンジン音はきちんと個性を持っていて、オーナーになった方に特別な思い出を提供できる、そんなバイクになっています。現代の交通事情にもマッチして、新たなバイクの世界観を提示してくれているのかもしれません。

W800 STREET

全長×全幅×全高  2,135mm×925mm×1,120mm

シート高      770mm

エンジン種類    空冷4ストローク並列2気筒/SOHC 4バルブ

最高出力      38kW(52PS)/6,500rpm

最大トルク     62N・m(6.3kgf・m)/4,800rpm

燃料タンク容量   15L 無鉛レギュラーガソリン使用

燃料消費率(km/L)20.9㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)

車両本体価格    1,089,000円
(本体価格990,000円、消費税99,000円)

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